最近ようやくkubernetesの動きがわかりはじめた野島です。
新元号最初のTech-on『Tech-On MeetUp#06』についてレポートしていきます。 いつも通り「TECH PLAY SHIBUYA」での開催となり、なんと過去最高の約90名もの方にお集まりいただきました。
今回のテーマはAI、AIを専門とされる3名の方に、テーマにちなんで、愛(AI)してるものについてもご紹介いただきながら、主にAIの最新技術および方向性、更にその技術をどのように活用できるかをお話いただきました。
イベント当日のスライド
【スライド1】SXSW2019に見るAIの未来
帆足 啓一郎@KDDI総合研究所
【スライド2】強化学習を使った次世代シミュレーション最適化
Eduardo Gonzalez@スカイマインド
【スライド3】見えていないものを見出す機械学習
白川 達也@ABEJA
【スライド1】SXSW2019に見るAIの未来
最初の発表はKDDI総合研究所の帆足さんです。愛しているものは奥さんとのことです。
3月にテキサス州のオースティンで行われた、SXSWのAIに関する講演から今後のAIの動向を紹介していただきます。
奥様との幸せな未来を見定められた帆足さんは、AIの未来を今後どのように見定めているのでしょうか、概要が以下になります!
SXSWとは
・オースティンで毎年3月開催されるイベント
・ 元々は音楽祭だったが、映画やテクノロジーについてのイベントも同時開催されるようになった
・ 講演、パネルディスカッション、展示会などが行われる
・ 著名な人や面白い人の話を聞けるのが魅力
過去の参加
・ 2016年からAI関連のセッションに参加
・ 過去の参加レポートはASCIIで記事になっている
今年のSXSW
・ キーワードはEthics(倫理)とEmpathy(共感)
■ 主なセッション
・Dear GovDear Gov't: Regulate Us! Sincerely, AI Indutry
- AI技術について、政府レベルでの規制を訴える内容
- AIに関わるプレイヤーが多すぎるため規制が必要
- 今のガイドラインだと適切な規制にならないため、新たな規制が必要
・How Ai Will Design the Human Future
- AIを前提とした人類・社会の設計についてのパネルディスカッション
- AIのベネフィットを示すだけでなく、信頼性、受容性を出さないといけない
- 人類・社会全体をよくするための全体的な再設計が必要
・How AI Changing Advertising in China
- 中国はAI天国であるという講演
- wechatであらゆることができるので、1つのアプリであらゆる行動データを大量収集できる
- 中国の規模とスピード感を実感
・キーワード1:Ethics
- AIはクールなテクノロジーから社会の脅威に変化しつつある
- GAFAは解体すべきとの意見を出すようなセッションもあった
・UBERLAND: Algorithms and the Future of Work
- AIは経営者になれるのか?をUBERの事例から考えるセッション
- AIは適切な給料を計算することができるだろうが、それで労働者が納得するかは別問題
- AIが合理的な値下げを提案したとしても、運転手がそれに従うか?
・Will Machines Be Able to Feel?
- AIは感情を持てるか?と議論するセッション
- 持てるか持てないかという次元では、開始20秒で持てないと断言
- リアクションのような反応は持つことはできる
- 既存のチャットボットはユーザの欲しい言葉に合わせる傾向があるので、矛盾の要因になり得る。ルールの適用は必要不可欠。
・Technology and the End of the Poker Face
- システムの人の解析は人の能力を上回っている
- 病気の検出のような使い方をできる
- 監視社会でも使われるかもしれない懸念がある
・Featured Session: The War for Kindness: Building Empathy in a Fractured World
- AI要素は薄めのセッション
- 人々の共感が減っている
- 共感のトレーニングをやっているという講演
・ キーワード2:Empathy
- AIと人間のコミュニケーションが重要になってくる
- 目指したい世界:人とAIが共感できる
- どちらかがどちらかに合わせるのは良くない
まとめ:SXSWが投げかけた問い
・人とAIの理想的な関係は何か
・ それの実現のために必要な取り組みは何か
お話を聞いて
SXSWであった講演のお話を聞いて、AI技術の進化スピードはとても早く。様々な問題が日々考えられていると感じました。
皆さんもこれらの問題をみて、どうあるべきかということを考えてみてはいかがでしょうか。
【スライド2】強化学習を使った次世代シミュレーション最適化
2番目の発表はスカイマインド株式会社のゴンザレズ エドワルドさんです。
愛しているものはベビーメタルであり、アイドルとメタルの融合という次世代のパフォーマンスと、
スカイマインドが作る次世代の機械学習システムにいい影響を与えているのかもしれません。
スカイマインドについて
・オープンソースのJava用DLライブラリ『DeepLearning4J』や、企業向けのDLプラットフォーム「SKIL」を提供
anylogicについて
・シミュレーションモデリングのソフトウェア
・工場の動作などのシミュレーションし、機器が故障した時の影響を確認できる
・JAVAと同じようなシミュレーションを生成する
・エクセルの入力を読み取ってシミュレーションといったことが可能
anylogicの理由
・スカイマインドのDeepLearningライブラリもanylogicもjavaで書かれている
・顧客から機械学習の要望があった
強化学習入門
・学ぶことを機会に行わせるのが機械学習
・いくつかの種類がある
- 教師あり学習:回答を見せながら学習
- 教師なし学習:答えは教えないが、データは見せる
- 半教師学習:教師ありと教師なし半々
- 強化学習:行動の評価値を教え、評価値が高くなるように工夫させる
・強化学習は特に難しい
・ゲームなどで行動パターンを学習させることができる
・いくつかのアルゴリズムがある
- DQN
- Policy Base Learning
anylogic+強化学習のメリット
・シミュレーションの動作は設定できるが、どういう動作をさせると最適になるかはヒューリスティックにやっていた
・強化学習で最適なパラメータを見つけ出す
サンプルの紹介
・信号機の制御を例に紹介
・車の量に応じた信号の切り替わり時間を調整する
・強化学習の実装:
- パラメータを調整する
- anylogicでシミュレータを作った後、ニューラルネットワークのロジックをいれる
-- 階層は2層で300ノード
- 学習を行い結果をシミュレーションし、その結果を使って再び学習するというのを繰り返す
・実験結果:
- 南北のトラフィックがほとんどない状態で実験すると、ずっと東西が青、南北に車が来た瞬間青になるという動きをする
- ラッシュアワー時にもanylogicの最適化オプションより交通がスムーズになるという結果が出た
・ユースケース
- 組み込みシステムに導入することで、機器の交換なしに生産性を上げることができる
お話を聞いて
強化学習を利用することで既存の最適化オプションよりも良い結果を得られたということで、大変興味深かったです。
それほど大きくないニューラルネットワークでもこの結果でしたので、より大規模なネットワークで学習するとどうなるんだろうとわくわくしました!
【スライド3】見えていないものを見出す機械学習
最後の発表はABEJA, Inc. の白川さんです。アイディアのあるものを愛しているとのことです。
司会者は、アイディアが詰まっているといえばカレーを思い浮かべてましたが、白川さんもカレーをお昼に食べていたとのことでした。
ABEJA, Inc.について
・DLの実装、運用プロセスを効率化するABEJA Platformを提供
機械学習について言いたいこと
・今AIっていわれてるのは機械学習のこと
・人間の思考は1:勘 2:論理的思考があって、機械学習は1に相当
・AIは運用し、使い込んでいくと改善していく
・AIは人間の代替ではない 得意な部分は人とAIで違う
ソフトウェア2.0
・Teslaの研究者が作った造語
・ソフトウェア1.0は振る舞いを書いたものであるのに対し、2.0はデータによるフィッティングができる
ソフトウェア2.0の作り方
・大規模に学習を行う
・Big GAN
- GANを大規模に行ったら高精度な画像の生成に成功
・GPipe
- 巨大なNNの並列学習を行うためのフレームワークを利用
・BERT
- 大きなモデルで特殊な学習方を使うことで精度が大幅に向上
・GPT-2
- 巨大な文章生成用の言語モデル
Discovery2.0
・新しく作ってみた造語
・Discovery1.0:予想できる判断要素から発見 Discovery2.0:相関を学習によって発見する
・耳の形や眼底の写真から、性別年齢などを判別できる
・いろんなものをとって相関を見つけていくことが重要
・ディープラーニングは使うデータによって中身を大きく変える必要がないので有利
心理学×AI
・Personality Psychologyで個人の特性を知ることに使えるのではないか
会場の雰囲気
今回は過去最高の来場者数となり、ネットワーキングタイムにも多数の方に参加いただきました。
みなさんそれぞれ思い思いの会話をされ、参加者同士の交流を深めておりました。
イベント最後は恒例の記念写真を撮影しました。今回も恒例のTの時での撮影です!
関連記事・イベント参加者のブログ記事
最近SpotInstanceとKubernetesで遊びはじめた野島です。 平成最後のTech-On、Tech-On MeetUp#05についてレポートしていきます。前回に引き続き今回も「TECH PLAY SHIBUYA」での開催となり、約80名もの方にお集まりいただきました。
今回のテーマは「xR」、xRと様々な技術の組み合わせによる新たな価値提供や課題解決についてお話いただきました。
(司会者追記:今回は私がカレー好きなこともあり、掛け合わせる→カレーのトッピング! と思い浮かんでしまったので登壇者紹介もカレーにちなんだ内容にしてみました。かなり強引でしたが。。笑)
イベント当日のスライド
【スライド1】VRの現状と未来
多田 英起@ナーブ
【スライド2】xR × 施設型エンターテイメント
村上 俊介 & Yichuan Shao@ティフォン
【スライド3】XR x ComputerVision
水田 修@KDDI
【スライド4】AR今昔 〜セカイカメラから10年、最新テクノロジーでARはどうなる?
高橋 憲一@カブク
(聞き手:小島 英揮@Still Day One 合同会社)
【スライド1】VRの現状と未来
最初の発表はナーブ株式会社の多田さんの発表です。 VR内見といった、カレーにソースを掛け合わせるが如く購買体験という味をキリッと引き立たせるサービスの紹介を通し、「VRの現状」そして、「VRの未来」について語っていただきました。
提供サービス
「もしも」が見えれば人の暮らしはもっと豊かに どこでもストアというVRで不動産の内見をできるサービスを提供 ショッピングセンターに設備を置きサービス提供し、担当者ともリモートでやりとりできる
VR/AR時代の情報量
ナーブのVRの定義は「情報」 VR/AR時代は提供できる情報量が違う 専門家とそうでない人の間の情報のギャップをVRで見せ解決する
今後の動き
現在はコンテンツの蓄積が完了したとこと 今後はチャネルと認知の拡大に向け舵を切っていく
技術面
特許を複数取得 VRで送信するデータの送信手法 バーチャル空間に家具を置く ...etc 課題 購買情報のデータが膨大すぎてDBがパンク 本番用DBに直接アクセスしていたため、障害が本番で発生 解決法 RedashとDBの間にTresureDataを挟むようにした レスポンスの時間が8分の1以下に DBがパンク寸前の状態でもレスポンスが帰ってくるように
新サービス
VRトラベルAd VRをアド事業にも展開 視線の移動などから購買時にどこを見ているのかなどが解析可能 Hivemallを使って機械学習しデータを解析する
お話を聞いて
VRを使った内見や広告の話を聞いて、今後のVRビジネスの展望が楽しみになりました。 技術面では、データ量の増加によりDBのアクセス速度が大きな問題になっているとのことでしたが、TresureDataを間に挟み込むというシンプルな方策で解決で劇的な効果を得たところに感激しました。 私も技術的な問題を解決する時シンプルで効果的な手段をとっていこうと思います。
○スライドは後日公開いたします。
【スライド2】xR × 施設型エンターテイメント
2番目の発表はティフォン株式会社の村上さんとShaoさんです。
xRを用いた施設型エンターテイメントという、カレーに蜂蜜をかけるが如く、両者の良いところが活かされたサービスについて、運営/技術面での課題や解決法についてお話いただきました。
提供サービス
MRを使った体験型施設ティフォニウムを運営 体験できる場所 お台場 渋谷 体験できるアトラクション 『コリドール(Corridor)』(ホラー・アトラクション) 『フラクタス(Fluctus)』(ファンタジー・アトラクション)
技術面(Corridor)
<アトラクションの概要>
洋館の中を探索するホラー・アトラクション 4.5m x 8.5mの空間をバックパックPCを背負って歩き回る HMD内蔵のカメラで画像を取得し、アプリ内のCGと合成して表示
<初期の課題と解決法>
HTC VIVEの内蔵カメラは開発当時のバージョンでは奥行きを認識できなかったため、壁に隠れて見えないはずの人が見えてしまう ⇒ プレイヤー同士が離れないように、リングを持ってもらうようにした 広い空間で自由に歩ける状態になると、現実の部屋の壁にぶつかる ⇒ 足元に魔法陣で順路を表示し誘導するようにした エレベータで移動し背後の扉が開いたあと、それに気づかず振り返ってくれない ⇒ プレイ開始時にスタッフがプレイヤーと共にエレベーターに乗り、操作を一通り説明する
<サウンドについて>
渋谷店オープン時にサウンド面を強化した ダイナミックレンジを広げてより現実の音量感に近づけた リバーブ設定を調整し、没入感をあげた イナゴの音をよりリアルにした
ユーザを満足させるための工夫
映像合成用の部屋のバックカラーは紫とし、施設のイメージと合うようにした 部屋の広さは余裕をもって広めにし、壁にぶつかることがないようにした 待ち時間にも飽きさせないように、PVを流したりなどした
運用にあたってのTips
ノウハウは意識して貯める ハードウェアトラブルが多いため、機材の予備はストックしておいた方が良い スタッフにはなんども体験させるなど、教育は必須。しかし時間がかかる
お話を聞いて
MRを使ったエンターテイメント施設の紹介を聞くと、わくわくし自分も行ってみたくなりました。 技術面では映像面での他にサウンド面でも力を入れており、VRは映像技術だけでなく、サウンドなどのその他の部分も重要な様相になると気づきハッとしました。
【スライド3】XR x ComputerVision
3番手はKDDI 水田さんの発表です。AI、ComputerVision、xRを組み合わせ現実世界を拡張してバーチャルキャラクターとコミュニケーションする仕組みと、そこから生まれたインサイトやビジネスニーズなど、カレーにとんかつをいれるかのようなおいしそうな話をしていただきました。
作っているもの
携帯3キャリアの中では1番早くから取り組んでいた xRを使ってキャラクターと話したり踊ったりできるサービス ARの中にVR空間を表示する 体験価値を向上する新しいコミュニケーションを作る スマートグラスなどの新しいデバイスも利用
マーケット
既存のあらゆる体験がマーケットになる 既存の体験にどのような追加要素を載せるか
課題
歩きスマホ デバイスの改良で解決 コンテンツの共有 クラウドを利用することで解決、通信のレイテンシの削減が追加の課題
ユースケース
バーチャルキャラクターガイド 美術館でバーチャルキャラクターが観光地の案内をする 音声は合成音声、動作は組み込みで後ろ側に人は一切いない アプリはUnitiy、ARCoreを利用 英語人材の少ない地域へ派遣し、外国人観光客対応をアシスタント 最近は低年齢の子供を対象にした機能を開発 使用者の年齢を認識し、年齢に合わせた文字の表示や案内内容を変更
キャラクターAI
キャラクターと会話ができる 常時話しかけ、会話ができるようになっている 電気をつけてと言ったら電気をつけたりする 時間や場所によって挨拶をかえたり、人間らしさを追求 機嫌が悪くなったりするなど、感情も持たせている 生々しい反応をするが、使ってもらった感想は好評だった
お話を聞いて
AI、ComputerVision、xRを組み合わせた会話や案内などの仕組みのお話を聞き、仮想世界におけるキャラクターの可能性を感じ取りました。マーケットは既存のあらゆる場所に存在するとのことなので、今後はどこでどんなサービスとして世に出てくるんだろうとわくわくしました。
【スライド4】AR今昔 〜セカイカメラから10年、最新テクノロジーでARはどうなる?
ラストの発表は対談形式、話し手が株式会社カブクの高橋さん、聞き手がStill Day One 合同会社の小島さんです。
約10年前にリリースされたARと位置情報を組み合わせたアプリである「セカイカメラ」、カレーに生卵をかけるように今や当たり前となった組み合わせですが、これが最新技術ではどのようになるのか、今後どのようになっていくのか、その歴史を見続けたスピーカーの視点でご紹介します。
ARの位置付け
クラウド、モバイルが登場、普及して、AIが商用になりつつある VR/AR/MRも同様で、その素養の上で、ビジネスとして成り立つようになってきた
2009年のAR
セカイカメラリリース 現実世界の場所にエアタグという仮想的なタグをつける いろんな場所に来た証拠を残すことができる 当時使った技術:Java, NDK, C++, OpenGL ES, AWS EC2, S3, PHP
<課題>
マネタイズがうまくいかなかった エアタグに広告を入れようとしたが、フィルタリングがうまくいかなかった
2019年にセカイカメラを作るとしたら
利用技術:ARCore Sceneform, ARCore Cloud Anchors, Java, Kotlin, Firebase Authentification, Firebase Cloud Firestore, Geo Firestore ARCoreを使うと画像の重ね合わせが簡単にできる Android Studioで3Dモデルのインポートが簡単にできる 当時大変だった部分が簡易化されて作りやすくなっている Unityはやはり外せない、使うといろいろな部分を簡単に作れる
今後の技術について
Googleが奥行きセンサー無しで画像の奥行きを測る技術を研究中 不確実な話だが、これができれば普通のカメラで奥行きを意識したARを実装できる 機械学習によるAR InstaSaber:丸めた紙を画像認識し、ARでライトセイバーを表示 Wanna Kicks:足を画像認識して好きな靴を履ける
結論
「あのセカイは普通になる!」
お話を聞いて
当時有名だったセカイカメラを通してARの昔、今、今後についてお話いただきました。 当時と現在の利用技術の違いをみてみると、フレームワークやクラウドサービスの発達は著しいものだと気づかされました。 もはや誰でも簡単にARアプリを作れる時代になりつつある今、今後どんなアプリケーションが出てくるのか期待したいです。
会場の雰囲気
セッション終了後の懇親会も50名以上の方に参加いただきました。
参加者同士でのディスカッション、講演者に気になったことを質問など、参加者、講演者、スタッフの区切り無くできたてのカレーのような熱い雰囲気となっておりました。
最後は恒例のTの字での記念撮影を行いました!
今後
次回Tech-onは「xR」をテーマとして3月に開催します。
皆様のご来場心よりお待ちしております!
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